大森正司「お茶の科学」
夕飯の準備中に、職場からトラブルの連絡があった。がっくり気落ちして、「えーでもさーそんなミスある?なんでしたんだろー。わたしのせいかなー??」と嘆いたらYくんが「わたしのせいじゃないよ。車で通りかかった人がやったんじゃない?だから大丈夫大丈夫」と慰めてくれた。
大森正司「お茶の科学」を読んだ。
・緑茶が緑色なのは葉緑素、クロロフィルが理由。しかし葉緑素は酸化に弱く壊れやすい分子構造のため、時間が経つと茶色に変色する。
・お茶の味を決めるのは、うま味に関わるアミノ酸、渋みに関わるカテキン、苦味に関わるカフェインの3つ。
・温度とともに渋みは増加するが、うま味は低温時がピーク。カフェインは80度以上のお湯で入れると抽出量が多くなる。カテキンは70度〜80度以上、アミノ酸は60度以上。
つまり緑茶は水出しがよく、熱いお茶が飲みたかったらカフェインが少ないほうじ茶で、ってことかな。知ってた〜。
お茶によって最適な温度が違うのは、カフェイン、カテキン、アミノ酸の含有量がそれぞれ違うからみたい。
お茶の審査用語の話が面白かった。
煎茶は「爽快な若葉の香りを持つもの」、深蒸し煎茶は「青臭が完全に抜けた甘涼しい香りを持つもの」がよい。「甘涼しい」って初めて聞く組み合わせだけど、聞いただけで心地いい。
また、良い紅茶は白いカップに入れると内側の縁にゴールデンリングと呼ばれる黄金の環ができる。その紅茶は「コロナあり」と評価する。コロナって太陽のあれでしょ?紅茶をティーカップに注いだとき、金色の環を見て「わー綺麗、太陽のあれみたい」と思う感性が素敵だし、それをみんなが「ほんとだ、太陽のあれみたい!」って共通の審査用語になるところもいい。
あと、収集中の「香りの表現」についても記述があったので収穫だった。
良い香りは「新鮮香」「みる芽香」「温和」「芳香」「釜香」「火香」、良くない香りは「葉傷み臭」「むれ臭」「焦げ臭」「硬葉臭」「青臭」「油臭」。「みる芽香」ってどんな香りだろう?やっぱりお茶が好きだと、製造過程まで心が行き着くのかな。どんな工程を辿ってこの手の中で揺られているのかを感じることで心が動くのかも。「いちょう香」「かぶせ香」とかの製造過程の言葉とか、「湿り臭」「変質臭」とかの保存状態の悪さを示す言葉もあるって。
いちょうは銀杏ではなく「萎凋」で、積んだ生葉を一晩放置させて萎れさせる工程。「かぶせ」は栽培するとき太陽の光を1週間程度さえぎって新芽を育てること。光を遮るとアミノ酸であるグルタミン酸が1.5倍に増加して、香りも独特の香りがする。「覆い香」とも言う。
お茶の科学 「色・香り・味」を生み出す茶葉のひみつ (ブルーバックス)
- 作者: 大森正司
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2017/05/17
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